長期優良住宅化リフォーム推進事業について
リフォーム工事に対する国の支援事業です。
国や自治体が企画する住宅関連補助事業は、調べてみると結構な数があります。
この「長期優良住宅化リフォーム推進事業」もその中の一つで、国土交通省が『良質な住宅ストックの形成や、子育てしやすい生活環境の整備等を図るため、既存住宅の長寿命化や省エネ化等に資する性能向上リフォームや子育て世帯向け改修に対する支援を行う』ことを目的としています。
基本的にそれぞれのリフォームの支援事業は地方自治体が単独で予算を組んだもの以外は併用ができません。
ですから補助金制度の活用を検討される場合は、どの支援事業を活用するかを考える必要があります。
ただ国や自治体が行う事業は、正直とても分かりにくくて、事業説明書類を読んでいるだけで厭になって投げ出して しまう、なんてこともありますよね。
その中でこの「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は比較的分かりやすく、リフォームを発注される方がその施工業者と「共同事業実施規約」を締結すれば、後の手続きは施工業者が行います。
また補助対象となる工事も、
① 省エネルギー対策 : 例)断熱サッシへの交換 高効率給湯器への交換
② 耐震性 : 例)耐力壁の増設 屋根の軽量化
③ 構造躯体等の劣化対策 : 例)床下の防腐・防蟻処理 ユニットバスへの交換
④ 維持管理・更新 : 例)給水・排水管の更新
その他に、バリアフリー改修工事、インスペクション(建物状況調査)で指摘を受けた箇所の補修工事、テレワーク環境整備改修工事、高齢期に備えた住まいへの改修工事、三世代同居対応改修工事や子育て世帯向け改修工事など、多岐に渡ります。
計画した予算の中で、より質の高い機材や工事を選べる。
この補助制度を活用すれば、対象となるリフォーム工事費の合計金額の1/3が補助されます。
対象となるものはあくまで住宅を優良化する工事です。劣化した部分を補修しただけでは、「あるべき姿に戻しただけ」と判断され、対象にならない場合もあります。
(申請内容に対する審査があります。またリフォーム後の住宅性能により補助限度額が設定されています。)
それでも、上手に活用すればメリット性は高いと思います。
つまり、100万円の施工費ですべてが対象になると仮定した場合、30万円以上が還元されることになるわけですから、かなりメリットがある制度だと思います。
またもっと違う角度から考えると、100万円の予算で150万円の価値のリフォーム工事を実施できるとも言えます。
活用するかどうかは、施工業者とよく相談して。
ただし、補助金を受けるためには必要な作業があります。
一つは、事前にインスペクションを実施しなければなりません。これは、床・壁の傾きや雨漏り、白蟻の被害など、日常生活に支障があると考えられる劣化事象の有無を把握するための現況調査です。
インスペクションは、第三者で建築士の資格を持つ既存住宅状況調査技術者が実施します。
次に、リフォーム工事の履歴として、工事内容を示す図面、工事写真等を作成して保存しなければなりません。
また住宅を長持ちさせるため、維持保全期間(30年以上)について、少なくとも10年ごとに点検を実施する維持保全計画を作成して提出しなければなりません。
この維持保全計画には、インスペクションで見つかった劣化事象を、リフォーム工事と同時に補修するか、その対応方法と対応時期も明記することが求められます。
これらの作業にはすべて費用が掛かります。リフォームの規模にもよりますが、10万~20万円程度はリフォーム工事自体の見積もりに上乗せされてくると思います。
つまり、最終的に審査をパスして支払われる補助金がどの程度なのかを見極めて、かかる費用との比較で活用の要否を判断する必要があります。