住設建材関連の値上げで、リフォーム市場はどう変化するのか?
価格の値上げ分を「転嫁」するのか「飲む」のか。
昨年末から大手メーカーから始まった値上げ発表は、あらゆる住設機材や建材に及び、我々リフォーム業界で生きる者たちにも深刻な問題になっています。
新型コロナウィルスの感染拡大に端を発した原油価格の高騰と、それに伴う流通の停滞が主要因であることは周知のことですが、もはや一企業、一業者の努力だけでは到底補うことができないレベルになっており、業界一丸となって乗り越えていくべき課題と言われています。
ただし、業界一丸と言ってもイニシアチブを取るのは大手メーカであり、現場で直接お客様と接して仕事を進めていく我々は値上げ分を価格に転嫁するのか、それとも飲んでこれまでと同様の価格でご提供するのか、常に悩む部分です。
実際に、あまりに急激に材料が上がったため、リフォーム工事を先延ばしにされるお客様が増えているのです。
複合的な要因でまだ先が見通せない状況。
前述した新型コロナウィルスが要因の原材料の高騰を分析すると、まず中国で感染拡大が長期化して製造業を圧迫し、コンテナ生産の遅延を招きました。
並行して国内でも度重なる緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置による消費の低迷、更には東南アジア諸国の相次ぐロックダウンで生産工場が動かなくなりました。
また木材の価格上昇は、2020年夏ごろからアメリカでの消費が急激に回復し、住宅ニーズが上昇し、それに伴って北米産木材の需要が急拡大しました。銅の高騰と併せてこの辺りはある程度予想できた範囲ではあるようですが、アルミニウムの高騰は想定外だったようです。
原料のポーキサイトの主要生産国のギニアでクーデターが起こったことなどが要因に上がっています。
そして中東で原油価格が高騰したのは、西ヨーロッパを中心とした脱炭素ビジネスの加速化が後押ししたわけですが、それにプラスしてロシアのウクライナ侵攻がオイルの高騰にとどめを刺した格好になりました。
このように「コロナ」「木材」「オイル」「アイアン」それぞれがいくつもの要因で複合的に絡み合って今の価格の高騰を引き起こしているのです。
現時点でも、自然災害やサプライチェーンのひっ迫など、世界的に厳しい環境下においては、残念ながら未だ先が見えてこない状況と言えます。
今本当に必要な改修工事なのか、よく考えて決める。
いつの時代もこういう場合に皺寄せが来るのは現場に近いところです。
正直当社も思うような受注ができずに非常に苦しい状況です。
それでも、いやだからこそ皆さんにお知らせしたいのは、
『その改修は本当に今必要か考えましょう』
ということです。
こういう状況ですから、リフォーム業者も無理にでも受注を増やすべくあの手この手で営業をかけてくるでしょう。
中には受注金額を増やすために、必要のないリフォームまで勧めてくる業者もいるかもしれません。
やみくもにリフォームを先送りする事をお勧めしているのではありません。
必要な改修や住設機器の更新はやらなければなりません。
雨が漏っているのにその改修工事をしなければ、もっと家を傷めてしまうことになります。
寿命が来ているのに更新しなければ、給湯器などいずれ動かなくなり、数か月後の寒い時期にしばらくお風呂に入れないなんてことになったら大変です。
以前からお話ししているように、お家の機材のリフォームサイクルを決めて、必要なリフォームを計画的にやるようにしましょう。
今回は少々暗い話題になりましたが、季節は必ず巡ってきます。
むしろお家のこともきちんと考えるきっかけができたと思って、楽しく生活できるよう行動しましょう。
私も微力ながら皆さんのお手伝いができればと考えています。