外装塗装リフォームの工程②
■養生
塗装工事でいう養生とは、窓、サッシ、外構(エクステリア)、植物、車など塗料が付着してはいけないものに、ビニールやテープ、マスカーを使って保護することです。また、窓枠などは真っすぐ隙間なく貼ることで、塗装の仕上がりも綺麗になります。(お客様にも車や自転車植木鉢などを移動していただいたり、水まき用のホースや如雨露(じょうろ)を片付けていたければ大変助かります。)
ひとつの目安ではありますが、養生をしっかりと行う業者は優良で信頼できるケースが多いと思います。
「足場メッシュシート」も養生の一つですが、ここでいう養生は「開口、窓回り、床等および付帯物の養生」です。
■肌合わせ、鉄部さび止め、ケレンなど
肌合わせとは、下地補修でクラックを補修した場合に凸凹にならないように塗装面を平らにする作業のことです。
さび止めとは、金属が錆びないようにその表面に塗る塗料のことです。金属を塗装する際の「下塗り」という工程で使用される塗料と同一です。さび止めを塗らずに、中・上塗りをすると直ぐに剥がれてくる可能性があるので注意が必要になってきます。
*なぜ錆はできるのか
鉄は、大気中の水分と酸素に触れることによって酸化して腐食します。これが酸化鉄=錆です。水も酸素も自然界に普通に存在するものですから、何もしないでおけば、時間の経過とともに酸化が進行し錆びるのは当然と言えます。
さび止めのタイプとしては、油性さび止めとエポキシ樹脂系さび止めがあります。
油性さび止めは膜厚が厚く防錆性には優れますが、乾燥に時間がかかるため作業性に劣り、現在はほとんど使われません。
エポキシ樹脂系さび止めはエポキシ樹脂にさび止め顔料を入れたもので、耐水性、密着性、耐久性に優れており防錆効果も高くなっています。浸透性があるので素地の内部に入り込み、補強する効果もあります。
ただし、紫外線に弱いという弱点があるので、上塗り塗料で対策を講じる必要があります。同じエポキシ樹脂系でもメーカーによって種類も多くその性能にも幅があるので、業者は地域性や季節や気候に応じて使い分けています。
ケレンは、ヤスリや電気工具を使い、スチール製屋根や階段に使われる鉄部の汚れやさび、古い塗膜を落とす作業です。ケレンは鉄部以外にも木部などでも行います。また、塗料の密着性をよくするために表面を傷つける作業を目粗しといいます。一般的にケレンといえばこの目粗しも含まれます。
*ケレンの種類と価格
ケレンは劣化の程度により作業内容が変わります。種類としては以下の4通りがあり、数字が増えるほど劣化が少ないときに行うケレンなので費用も安くて済みます。
・1種ケレン・・・・・一般住宅ではやらない
・2種ケレン・・・・・使用道具 ワイヤーブラシ、ワイヤカップ、ディスクサンダー
作業内容 かなり錆が酷いときに実施。電動工具使用。既存塗膜もすべて除去。
・3種ケレン・・・・・使用道具 ワイヤーブラシ、スクレーパー、ケレン棒
作業内容 最もよく行われる。手工具と電動工具併用。錆びていない既存塗膜は残す。
・4種ケレン・・・・・使用道具 紙ヤスリ
作業内容 最も状態が良い場合に実施。手工具のみで行う。
この中で、4種と2種ではその工事単価が5~10倍も違います。仮に屋根面積100㎡で仮定すると、工事代金で100,000~200,000円の差が出てくる可能性があります。
このため、どんなに遅くても3種ケレンで除去できる程度の劣化具合で塗装することが推奨されます。錆が多ければ多いほどその除去は難しくなり、しっかり除去できない場合は耐久性も間違いなく落ちてしまいます。
最近よく耳にするガルバリウム鋼板(GL鋼板)製の屋根は、塗料をはじきやすい素材です。そのため塗り替えを実施するときは2種ケレンでしっかり塗膜を除去する必要があります。言い換えるとガルバリウム鋼板の特性を消してしまうことにもなるわけです。
このあたりもよく頭に入れて、張替やカバーリングでのリフォームも含めて、どういうリフォームが一番家に適しているか検討することが重要になってきます。
次回はいよいよ下塗りです。