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屋根のリフォームの話

お客様の要望をどう聞き取って理解するか。

もうずいぶんと前の話になりますが、あるハウスメーカーの営繕部隊からの依頼で、屋根をリフォームしたいというお客様の対応をしました。

既存の屋根は彩色のスレートの屋根です。

経年でかなり色落ちが目立って、重なり部の一部では苔も生えてきている状況でした。

写真はイメージです

お客様としては、一番のリフォーム理由が「見栄えを綺麗にしたい」ということで、塗装のご要望で打ち合わせに入りました。

しかし実は、打合せの最初に「瓦に変えたい。」というお話があったのです。しかし勾配(屋根面の角度=緩いほど使える屋根材が限定される)からも、重量(瓦にすると彩色スレート板の約3倍の重量になる)からも、瓦は使えないというご説明をしました。

それで塗装でということになったのですが、その後も「やっぱり瓦は使えませんかねえ。」とか「軽い素材でできた瓦はありませんか。」など、瓦を諦めきれない様子が窺えました。

私はいったん塗装での打合せをやめて、お客様が本当は何を求めていらっしゃるのか探ることにしました。

「お仕事から帰ってこられて家に近づいてきた時、どんな印象を持ちますか?」

「ご近所の屋根で一番いいなと思うのはどのお宅の屋根ですか?」

「外壁はどんな風にしたいと思っていますか? それとも今のままでいいですか?」

などなど。

お客様自身も見えていなかった潜在的な要望。

そんな直接はお客様のお宅のリフォームに関係ない話を、本当に世間話も交えて2、3回したのち、次の打合せで私はあるメーカーの金属系の屋根でのカバーリングを提案しました。

I社の金属系屋根材

打合せの中で私が感じ取ったのは、色褪せや色落ちと言った色絡みの問題よりももっと段差(または陰影と言ってもいいかもしれません)のはっきりした形状の屋根を望まれているということでした。

もちろん瓦は前述の理由で使えないことは変わりません。それに対してその金属屋根は勾配では横葺きの屋根材の中では最も緩勾配に対応でき、重さも彩色スレートの半分以下、瓦との比較では何と1/6程度です。

そのためカバーリング工法(既存の屋根材を残したまま、その上から新しい屋根材を被せて仕上げる工法)も使えて、工期も予算も抑えることができます。

そして何より瓦ほどの厚みはありませんが、軒先側から見た段差が12~14㎜あってスレートの屋根よりはかなり立体感があります。

お客様にその金属屋根のカットサンプルを組み合わせてお見せしたり、実際の完成写真などを見ていただいたりしてすっかり気に入っていただきました。

イニシャルコスト(その時点でかかる工事費用)は塗装より1.5倍以上かかりますが、塗装は5~8年くらいで再塗装が必要になりますし、屋根においては複数回の塗装はあまりお勧めできません。

金属屋根は10~15年は塗膜が有効ですし、屋根材としての機能で言えば25~30年は十分に発揮します。

つまりランニングコスト(その時点の工事費用+将来的なメンテナンス費用)を考えれば、お得な場合もあるということです。

お客様は金属屋根についての知識は、瓦棒 ※写真参照 タイプの形状や「金属=トタン=錆びやすい」だったようで、このような金属屋根があることはご存じなかったようです。

瓦棒屋根

打合せの中でお客様が要望されている潜在的な部分を汲み取ることができたので、本当に喜んでいただけるリフォーム工事ができました。

投稿日: | カテゴリー:リフォームよもやま話

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